「らんたん亭」の代表は“こち亀の両津勘吉”!?【しまいばなし 第3話】

しまいばなし

足立区梅田にあるアートコミュニティスペース「らんたん亭」運営メンバーで、「トネリライナーノーツ」アシスタントのしまいしほみが、同編集長の大島俊映と、時にはゆるく、時には熱く話を繰り広げるのが「しまいばなし」です。

第3話は、「らんたん亭の代表は“こち亀の両津勘吉”!?」と題して、「らんたん亭」代表の中島正行さんスペシャルをお届けします。

なお、こちらの記事は、6/9に配信されたラジオを記事用に編集しました。

「らんたん亭」代表の中島さん(左)としまい(右)
「らんたん亭」代表の中島さん(右)としまい(左)

6月の「寺子屋」は読書会

――6月の「寺子屋」ワークショップが終わったという事で、どうだった?

しまい 今回もおもしろかったですよ。「心が揺れ動いた1冊」をテーマに、紹介したい本を持ち寄って紹介しあう読書会を開催しました。

「寺子屋」ワークショップの様子
「寺子屋」ワークショップの様子

――しーちゃんは何を紹介したの?

しまい 私は『窓ぎわのトットちゃん』という黒柳徹子さんの幼少期が書かれた自伝的物語を紹介しました。この本は、小学生の頃通ってた塾の国語の教科書として使われていた本だったんですけど、私は国語の授業が苦手で、その頃は本も苦手だったので『窓ぎわのトットちゃん』の内容に対して何も思ってなかったんです。それが、中学生になって改めて読み返すと、トットちゃんの自由さや、トットちゃんが通っている小学校の校長先生に惹かれて、おもしろくて初めて一気に全部読めた本なんです。

他の参加者の方々も、持ってきた本のジャンルが様々で、ミステリー系や食のコミック漫画、『動物裁判』という難しそうな本を持ち寄った方もいました。本の内容や紹介者の心が揺れた部分など、いろんな発見があっておもしろいワークショップになりました。

参加者が持ち寄った「心が揺れ動いた1冊」
参加者が持ち寄った「心が揺れ動いた1冊」

――いやぁ楽しそうですねぇ。岡本太郎さんが好きな「らんたん亭」代表の中島くんも「寺子屋」ワークショップには参加したの?

しまい 中島さんは、『窓ぎわのトットちゃん』の中でいう、先生でも生徒でもない、「校長先生」のように運営側として外からみんなを見守ってくれていました。

人情味の溢れる“両さん”こと中島さん

――しーちゃんが中島くんを一言で表すと何になるのかな?

しまい 一言でいうと、“両津勘吉”ですかね。

――『こち亀』の両津勘吉!?(笑)なんでそう思うの?

しまい アニメのオープニング曲で「金のない奴は俺んとこへ来い、俺もないけど心配すんな。そのうちなんとかなるだろう」というフレーズがあって、まさしく中島さんだなと思うんです。

中島さんは、「友達や周りの人がご飯を食べたければ作ってあげるよ」とか「壊れたものは直せばいい、手伝うよ」とかというスタンスで、何かと器用なんですよね。それに加えて、損得で決めたり、見返りを求めることもなく、ただみんなが平和ならいいって考えてるところが、純粋に“いいやつ”なんですよ。ちょっとルーズなところとか、代表と言えどちょっと頼りなく感じる所もまた憎めないのが両さんっぽいなって思います。

「らんたん亭」代表の中島さん
「らんたん亭」代表の中島さん

――両津勘吉っていうと、破天荒だけど人には慕われる、っていうイメージがある。そういう感じなのかな?

しまい そうですね、「らんたん亭」の雰囲気をより良くするために天井をぶち抜いて自分で工事をしたり、川辺に小屋を建てたり、世間一般ではあまりやらなさそうな事も、“楽しいからやってみたい”という理由でやるところとかは、良い意味で破天荒なところもありますね。逆に、そういうところが見てておもしろいから、中島さんに協力してくれる人も多いように感じます。

――チーム「らんたん亭」は、『こち亀』の漫画の世界のまんまなのかもね。

しまい 中島さんを主人公に、驚かされるような事もありながらも、みんな楽しくやってるところはそうかもしれないですね。

支援が必要ではない中高生の居場所

居心地のよさとあたたかさを感じられるよう作られた「らんたん亭」
居心地のよさとあたたかさを感じられるよう作られた「らんたん亭」

――「らんたん亭」の運営メンバーでミーティングもしていると聞いたけど、中島くんを中心にどんなミーティングをしてるの?

しまい 直近だと「らんたん亭」の立ち位置を教えてもらった、という話が印象に残ってます。地域との繋がり作りや、どんな活動をしている団体があるのかを知るためにも、地域のマルシェやイベントに中島さんが顔を出しているので、そこで出会った方との話を聞くことが最近は多いんです。

その中で、中高生向けの支援をしている団体の方と「らんたん亭」の立ち位置の話になったらしく、「らんたん亭ってどういう場所なのか説明が難しいよね。けど、大事だよね」と言われたそうなんです。

食事支援が必要なわけでも、学習支援が必要なわけでもない、でも居場所がなさそうな子。そういう中高生をどこに居させてあげるのが良いのかと考えた時に浮かぶのが「らんたん亭」だそうで。“最後の砦”みたいになってるようなので、そういう存在なのかと知れたのは嬉しかったです。

――立ち位置って相対的なものだから、外側の世界を知らないと自分たちの立ち位置ってやっぱりわからないものなんだよね。だから外に出てそれがわかったというのは、とても良いと思うな。それをまたメンバー内に還元するっていうところもいいね。今、編集長っぽいこと言ってるね(笑)

みんなの心が平和ならそれでいい

――6月は展示もやってたんだよね?

しまい そうなんです。藝大生と多摩美生による日本画の合同展示がありました。私は見に行けなくて写真を見せてもらったんですが、写真だけでも魅了される作品ばかりで、これは「らんたん亭」に行ってたら居座ってずっと眺めてただろうなと思いました。展示のあとは居酒屋としてそのまま作品を眺めながら飲めるって最高だろうなって。

藝大生と多摩美生による日本画の合同展示
藝大生と多摩美生による日本画の合同展示

――「らんたん亭」って居酒屋もやってるんだっけ?

しまい そうなんです。「隠れ家酒場-rantan-」という名前でやっていて、金土日に営業しています。中島さんが作った料理を食べながらお酒が飲めて、都内とは思えない田舎感を感じながらくつろげる場なんです。飲食営業の許可ももちろん取ってるので、ご安心ください(笑)

――なるほどね。ちなみに、中島くんって今後どうなっていくと思う?

しまい 今後もおそらく、やりたい事、楽しいと思うことをやっていくんだろうなって思います。すごい事業を展開するというよりかは、ちょっと枠から外れた人たちもみんな巻き込んで「平和にやっていこうぜ」っていうスタンスの活動をされるんじゃないかなと思うし、ぜひ続けてほしいです。

――地域平和を担っていくってことだね。

しまい そうですね。そんな中島さん、実はポエマーなところもあるんです。最近、「らんたん亭」のホームページを新しくして、そこにポエムがところどころに載ってるのでぜひ読んでみてください。

らんたん亭
住所
足立区梅田4丁目12-14
ホームページ
https://rantantei21.wixsite.com/rantan

「しまいばなし」編集者のしまいしほみ
「しまいばなし」編集者のしまいしほみ

編集=しまいしほみ(トネリライナーノーツ アシスタント)
トネリライナーノーツ記事
https://tonerilinernotes.com/tag/shimai/