「地域の子どもたちが輝く、その舞台裏。―ほしかぜの挑戦―」KAEDEさん&伊勢新九朗さん【ガチアダチ サミット episode.3】

ガチアダチ サミット

「トネリライナーノーツ」が毎月第3日曜に足立区千住旭町にある古民家カフェ「路地裏寺子屋rojicoya」で主催しているイベント「オオシマナイト」で実施する公開取材が、「ガチアダチ サミット」です。

キッズパフォーマンス集団「ほしかぜ」代表のKAEDEさん(右)と、KAEDEさんの夫で「ほしかぜ」の動画や広報を担当する伊勢新九朗さん(左)
キッズパフォーマンス集団「ほしかぜ」代表のKAEDEさん(右)と、KAEDEさんの夫で「ほしかぜ」の動画や広報を担当する伊勢新九朗さん(左)

「ガチアダチ サミット」のepisode.3となる今回は、足立区を拠点に活動するキッズパフォーマンス集団「ほしかぜ」代表のKAEDEさんと、KAEDEさんの夫で「ほしかぜ」の動画や広報を担当する伊勢新九朗さんに登壇していただいて、「地域の子どもたちが輝く、その舞台裏。―ほしかぜの挑戦―」をテーマにお話を伺いました。聞き手は、トネリライナーノーツ編集長の大島俊映が務めます。
(取材日:2024年8月18日)

子育て中の葛藤、子どもが苦手…。「ほしかぜ」はなぜ始まったのか

「ガチアダチ サミット」ゲストスピーカーのKAEDEさん(中央)伊勢さん(右)と「オオシマナイト」主催者の大島(左)
「ガチアダチ サミット」ゲストスピーカーのKAEDEさん(中央)伊勢さん(右)と「オオシマナイト」主催者の大島(左)

――まずは「ほしかぜ」がどんなことをしているのかを教えてください。

KAEDEさん 「ほしかぜ」は、主に学童期の5歳から12歳の子どもたちにパフォーマンスを指導したり、足立区を拠点に地域のイベントを運営したりしています。一般社団法人「ほしかぜ」がやってる事業は、大きく2つあります。

1つは、メンバーの子どもたちと共に本公演へ向けて稽古に取り組み、オリジナル作品を制作する事業のキッズパフォーマンス集団「ほしかぜ」です。子どもたちに法人の児童会員になってもらって、固定のメンバーで活動しています。ただし、固定と言っても卒業制度があるので、12歳になったら卒業して、また新しいメンバーが入り循環しています。

もう1つは、あらゆるパフォーマンスのプロフェッショナルをお呼びして、無料のワークショップ授業を開催する事業の「子ども表現堂」です。地域に開かれた表現活動の場として、誰でも無料で参加できる形にしていて、主に「あだちまちづくりトラスト」の助成金をいただき、教育委員会の後援をとって、広く活動しているワークショップ型の授業になります。

「ほしかぜ」設立のきっかけについて話すKAEDEさん
「ほしかぜ」設立のきっかけについて話すKAEDEさん

――なぜキッズパフォーマンス集団「ほしかぜ」をつくったんですか?

KAEDEさん 一言でなぜ?と問われると難しいんですが、「私が楽しむため」というのが1番の理由です。私は演劇界に元々ずっといて、表現活動の場に身を置いて生きてきたんですけど、子どもを産んだあとから表現の仕事がうまく回らなくなり、今は中3と中1の娘たちが小2と幼稚園児だった時に「このまま、子育てで一生を終えるのかな」とスッキリしない気持ちがあったんです。

自分が元々いた表現活動の場からはやっぱり離れたくなくて、子育てしてると演劇の方たちとの縁が切れていくこともありますが、なんとか繋がっていたくて、娘たちを連れて稽古場に行ったり、一緒にいろんなワークショップに行ったり、芝居を観に行ったりしていました。

でも、当時の足立区ってホントに面白いことやってなかったんですよね(笑)だから、杉並区や世田谷区の方面に小さい子どもたちを連れて遊びに行って、なんとかそこで子育て中の自分の気持ちを保ってる中で、「足立区に作ればいいんじゃね?」という意識が芽生えていって。

当時の想いを赤裸々に語ってくれました
当時の想いを赤裸々に語ってくれました

KAEDEさん そこで、子どもたちに「ママさ、足立区でおもしろいことをやろうと思うんだよね。子どもたちの舞台とかをやったら、おもしろくない?」というようなことを相談したら、彼女らは「めっちゃやりたい!」と賛同してくれたんです。

遡ってみると、長女を産んだ時から夫に「これからは、KAEDEはパフォーマンスに出ずに、子どもたちが出た方がいい」とか「KAEDEは子どもたちに向けて何かやった方がいいよ」とかって言われていて。でも、当時は「何言ってんの、私はまだ現役だけど」と、自分が舞台に出たいという気持ちや嫉妬があったり、「子どもたちに向けてやるなんて、超つまんなそう」などと思ったりしていました。昔は子どもが嫌いだったので。今となっては、娘が4人もいるのに(笑)

そうやって反発もしたけど、「娘たちと楽しく過ごすために、都心へ電車に乗って行かなくても、自転車で行ける範囲で楽しいことをやっちゃえばいっか」と思ったことが、「ほしかぜ」の始まりです。そんなに大そうなことは考えていなくて、私と娘たちの3人で楽しいことをしたかったんですよね。

――なるほど。その時、伊勢さんはどんな心境だったんですか?

伊勢さん KAEDEの話にあったように、僕は娘が生まれた時ぐらいから言ってたので「やっときたか、このタイミングが」とは思いましたね(笑)全力で応援しようと。

足立区千住旭町にある古民家カフェ「路地裏寺子屋rojicoya」にて
足立区千住旭町にある古民家カフェ「路地裏寺子屋rojicoya」にて

伊勢さん とは言え、旗揚げしたばかりの頃はそこまでガッツリと関わってなくて、むしろ横で見ていた感じだったんです。けれど、2019年9月の第1回旗揚げ公演の際のかなり本格的なパフォーマンスを観て、衝撃を受けたんですよね。最前線で表現活動をしていたプロの方たちを呼んで、子どもたちと一緒に何か1つの作品を作る時に、「こんなにもすごいものができ上がるんだ」と。これは本気でやった方がいいなと思いました。

――KAEDEさんは演じる側から、教える立場に変わったってことですよね?

KAEDEさん そうですね。でも、“教える”という意識はあまりないですね。私はあくまでも演出家として関わっています。元々、ショービジネスの世界で食べていきたくて、演出や振り付けを昔からずっと仕事にしていたので、演出をすることに関しては対象が子どもに変わっただけで、すごくすんなりとできました。

「ほしかぜ」を立ち上げた頃は子育てをしていたとは言え子どもが苦手だったのに、なんで「ほしかぜ」の子どもたちと上手くいってるのかなと考えた時に、子どもたちの事を“子ども”として接さず“演者”として接してるから、すごく上手くいってるし可愛く感じるんだろうなと思うんです。

伊勢さん KAEDEはコミュ力と言うよりも、表現を通すことで会話ができるタイプなんですよね。

キッズパフォーマンス集団「ほしかぜ」の“演者”のみなさん
キッズパフォーマンス集団「ほしかぜ」の“演者”のみなさん

――だいぶイメージが違いました。子どもが好きだから教えたい、のではないんですね。大人と子どもでは、演出をつけるのに違いってありますか?

KAEDEさん 演出や演技指導のやり方の違いはありますね。大人はある程度の人生経験があるので「こういう場面ってこうだよね」のような共通の認識みたいなものがあるんですよ。でも、子どもはそこを生きてない分、状況を説明しないと分からなかったり、状況を説明したところでそれを表に出せなかったりします。

だから、子どもたちにはどちらかというとロジカルに「じゃあ、ここを5秒待とうか」 とか「ここで大きく口を開けてみよう」とか、感情を表に出せっていうよりも、ロジカルに演出側が状況を紐解いてあげて演技指導する方がすごく上手に見えますね。

子どもたちもプロ意識を持って挑む「ほしかぜ」の本公演

本業は台東区柳橋に本社を構える雑誌や書籍などの編集プロダクションの株式会社「伊勢出版」代表の伊勢さん
本業は台東区柳橋に本社を構える雑誌や書籍などの編集プロダクションの株式会社「伊勢出版」代表の伊勢さん

――伊勢さんは第1回の公演を見て「ほしかぜ」にガッツリと関わろう思った時は、KAEDEさんにどんな感じでお伝えしたんですか?

伊勢さん どうだったかな。

KAEDEさん 私はすごく覚えているよ。旗揚げ公演の「竹取物語」の通し稽古の際に、内部にいると自分でもこれでいいのかわからなくなるし「ほしかぜ」として初めての公演だったので、客観的な意見が欲しくて「通し稽古をやるから来て」と夫に言ったんです。

夫はそれまで稽古に来てなかったし、台本もそんなに読んでなかったんですけど、その稽古で“子ども騙し”なことをやらせないところを見て、「これがやりたかったんだね」と言ってくれたんですよね。

伊勢さん そうそう。学芸会ではなくて、プロフェッショナルの方たちと一緒に舞台を作り上げているところを見て感激しましたね。そこから、「ほしかぜ」を有名にしたいし、仲間をいっぱい増やしていきたいなと思って、本業で本も作っているので広報宣伝活動や動画制作にも力を入れて手伝いを始めました。

ワークショップでのKAEDEさん
ワークショップでのKAEDEさん

――家庭内で活動のことなどを話すこともあるんですか?

KAEDEさん 活動の話の方が多いですね。その話で朝まで飲めますよ(笑)創設当初はメンバーが9人程度だったのが、今となっては40人超えなので、その子たちがどういう子なのかとか、こういう現場稽古があったよとか、こういう反応されたよとかというのを話してるだけで、夜が明けています。だんだんとビッグダディみたいになって、みんなのことが可愛くてしょうがないねと話しています。

――やっぱり、本公演が「ほしかぜ」にとって1番大きいイベントでしょうか?

KAEDEさん そうです。1番やりたいことなので、何をやめてもそれだけは継続したいなと思ってます。

――旗揚げ公演について聞いていきたいんですけど、まず公演直前はどんな気持ちだったんですか?

KAEDEさん 本番前の楽屋の様子をすごく覚えてます。もうすぐ始まるから楽屋でみんなで精神統一をしていたら、受付の方が来て「やばいです!KAEDEさん、会場で立ち見が出ています。人が溢れてるから、開演がちょっと押します」と言われたんです。子どもたちも「やばい!やばい!」と興奮していました。

旗揚げ公演について話すKAEDEさん
旗揚げ公演について話すKAEDEさん

KAEDEさん そのあと、エルソフィアの小屋付きの方に「定員オーバーしているけど、もう入れちゃうよ」と言われて入場が始まったんですが、定員が確か280名程度なんですけど、300人くらいのお客さんが入ってくださったんです。立ち見のお客さんもいて、熱気が溢れる中で公演ができたあの時の興奮は、今でも覚えてます。「あんなに席が埋まったのは初めて見た」と言われて嬉しかったですね。

――すごいですね。

KAEDEさん 旗揚げ公演だからいろいろ手探り状態の中、チケットを予約制にしてなかったので、どれだけ人が集まるのかが、本当に分からなかったんですよね。ただ、子どもたちが表現者として大人と対等な意識で舞台の上に立つ以上、お客さんを呼ぶのは演者である子どもたちの仕事でもあります。客が呼べない演者は、結局仕事を全うしてないことになるので、ノルマではないですが「1人につき20人はお客さんを呼びなさい」と、その公演に出演する人数で割ったザックリした目標をそれぞれに持たせていました。

例えば、先ほど「オオシマナイト」のワークショップでエチュード(即興演劇)をやりましたけど、あれがエチュードとして成り立ったのは、見てくれるお客さんがいたからですよね。舞台で演じるのと“おままごと”の差は、お客さんがいるかいないかなんです。なので、お客さんを呼べなかったら舞台に立つ資格はないので、公演は無料だとはいえちゃんとお客さんを呼ぶということについては、子どもたちに毎回言っているんです。

お揃いのTシャツは第4回本公演「ゾンビ・ザ・デベロップ〜魔法少女都市〜」のオリジナルTシャツ

――旗揚げ公演が終わった後は、どんな気持ちだったんですか?

伊勢さん 興奮していたよね。これは続けたいねと話してました。KAEDEが呼んだプロのスタッフさんたちからもすごく好評だったんです。「ほしかぜ」の本公演の時は、舞台裏に親や私たちはいないので、プロフェッショナルな方たちと子どもたちが対等にやり取りをするんですよね。だから、大道具や制作の方たちから「子どもたちがこうやってできるのって、すごいよね」と言われました。

――第4回公演が9月21日にあります(※取材後に終了)が、今回の見どころはいかがですか?

KAEDEさん 第4回にもなると、1回目、2回目と経験してきた子たちが良い意味でも悪い意味でもだんだんと舞台慣れして大女優がたくさんいる状態で、要求も大きくなってくるので見どころはたくさんあります。

動きの指導をするKAEDEさんと真似る子どもたち
動きの指導をするKAEDEさんと真似る子どもたち

KAEDEさん 公演のテーマは子どたちが決めて、子どもたちからもらったテーマを私が揉んで子どもたちに返して、また子どもたちがやりたいことを出し合って私に投げてもらう。そういうキャッチボールを繰り返して、私が脚本を書くという流れなんですけど、今回取り入れたのがアクションと歌うシーンですね。

アクションでは、エアリアルという空中ショーが見どころです。空中ショーは2つ入れていて、1つは丸いリングの上でやるパフォーマンスで、もう1つは今回初挑戦になるシルクの布1本でやるエアリアルシルクパフォーマンスです。シルクド・ソレイユでやってるパフォーマンスで、それをやる子は上半身ムキムキになりながら必死で頑張ってます。

あと、歌うシーンではドラム・ギター・キーボード・ボーカルで生バンド演奏が今回初めて入るので、見どころがたくさんあります。大人も楽しめる内容にはしてるんですけど、内容が分からない子どもでもシーンごとが面白いので、観てもらえるかなと思いますね。

伊勢さん 演劇や芸術って元々は社会風刺だったり批判だったりというところから生まれてきてるので、今回の内容も今も分断社会について表現した部分もありますが、その辺は子どもたちは今は分からなくても、いつか「あの芝居やった時のあの表現って、こういう意味だったのか」と分かればいいかなという想いもあります。

――まさに「ほしかぜ」の成長物語ですね。「ほしかぜ」が年月を積み重ねてきたからこそ、そこまで到達しているということですね。

夫婦で想い描くこれからの「ほしかぜ」

夫婦の二人三脚で「ほしかぜ」を運営している
夫婦の二人三脚で「ほしかぜ」を運営している

――本公演は今も無料だと思いますし、通ってる子どもたちの月謝も抑えめかと思うんですけど、そのあたりは何か考えがあったりするんですか?

KAEDEさん 今、「ほしかぜ」メンバーの子どもたちは、法人の会員という形で会費をもらってはいるんですけど、お金は払える大人が払えばいいかなと思うので、できれば会費をもっと抑えたいなと思っています。

足立区でこの活動を始めたキッカケがもう1つあって、表現活動への敷居を低くしたかったんです。娘を公立の学校に通わせていたんですけど、友だちの中で差があることに衝撃を受けたんです。「お母さんは夜まで家に帰ってこなくて、習い事も何もしてなくて、家がめっちゃ散らかってる」という子もいれば、「習い事が週に7回あってめっちゃ忙しい」という子がいたり、「お母さんが遅くまで帰ってこないから学童に1人で行き来している」という子がいたりという差に驚きました。

運営についても伺いました
運営についても伺いました

KAEDEさん その中で、習い事を何もしてない友だちと娘が遊んだ時に、その友だちの歌がめっちゃ上手だったので「もったいない!きっとこの子が舞台に立ったら、めっちゃイイのに」と思って、こういう環境の格差のようなものをなくして、少しでも子どもたちの可能性を拾える場所が必要だと思ったんです。なので、なるべく敷居を低くすることを意識して、本公演の入場料は無料にしています。

足立区には「劇場シアター1010」や「東京芸術センター」などがあって、「BUoY」も最近できましたよね。いくつか劇場があるにも関わらず、「ほしかぜ」の子どもだちでも半分以上が劇場に足を運んだことがないんですよ。発表会で行ったことがある子がいたとしても、発表会とお金をしっかり払って見る公演は全然違うんですよね。

劇場に足を運んだことがある子が少ないのは子どものせいではなくて、親が連れて行くかどうかだと思うから、「公園に行く感覚でふらっと劇場に行ったら、本物見れちゃった」みたいな体験をつくるために、値段を下げて敷居をちょっと低くしたいなと考えています。

公開取材「ガチアダチ サミット」に参加してくださったみなさん
公開取材「ガチアダチ サミット」に参加してくださったみなさん

――伊勢さんもそのあたりはどう思ってらっしゃいますか?

伊勢さん KAEDEが今話してくれた「ほしかぜ」のその理念はめちゃくちゃ大事で、僕もそれを応援したいなと思ってるので、お金は出せる人が出せばいいっていう発想ではあります。

ただ、次の課題として1つあげるとすると、やっぱり資金繰りの部分なんですよね。今は会費で賄いつつ、助成金も利用しているんですけど、「ほしかぜ」を応援してくれるサポーターのような方々をもっと増やしたい気持ちはありますね。

そのために、本公演に向けたクラウドファンディングをやっている(※9/30に終了)んですけど、「ほしかぜ」の活動って伝わりにくいところがあるのでまだ半分ぐらいというところですかね。

聞き手を務めた大島
聞き手を務めた大島

――「ほしかぜ」を今後どうしていきたいかも、2人にお伺いしていきたいです。

伊勢さん サポーターがもっと増えてほしいという想いがあるんですけど、例えば、埼玉県の多くの方がJリーグの「浦和レッズ」を応援してファンになってるのと同じ感覚で、足立区には「ほしかぜ」があって、子どもたちを応援したいっていう大人がいっぱい増えてほしいですね。野球やサッカーと同じように、元々はみんな“箱推し”で、そこからそれぞれ“個人の推し”ができていくような流れで、足立区を巻き込んでいけたら。

今、会員の子どもたちが40人くらいいて、親御さんだけで100人ぐらいの大規模な家族になってるんですけど、この家族の輪をもうひと回り増やしたいです。足立区とか地域とか商店街とかをもっと巻き込んで漫画の『GIANT KILLING』のようなところを「ほしかぜ」も目指せたら、クラファンをしなくても自然と本公演の費用などは集まってくるだろうし、みんなが楽しめる団体になるのかなと思います。

あと、「ほしかぜ」を卒業した子たちが、中学生劇団を今やっているんです。こういう子たちが成人して、みんながそれぞれの道を歩んで、足立区や「ほしかぜ」にいろんなものを持ち帰ってくるような循環が作り出せるようになると、そこでまた何か新しいことが生まれるんじゃないかと思いますし、可能性を秘めてるんじゃないかなと感じます。

KAEDEさん 15年後ぐらいにみんなで楽しく飲んでいたいよね。若い世代の子が「ほしかぜ」を率いて回り出すのも理想だよね。

「ほしかぜ」や表現活動についての想いを話すKAEDEさん
「ほしかぜ」や表現活動についての想いを話すKAEDEさん

――KAEDEさんはどうですか?

KAEDEさん 私はずっと表現活動をしてきて、子育てもしていく中で、舞台に立ってお金を稼ぐことが難しくなった30歳くらいで人生初の就職をしたことがあるんです。その時に、接客業ではロールプレイング大会という接客の大会があって、それで日本で1番になったり、営業の仕事ではめっちゃコミュ障なのに営業はできて成績が上がったり。これができたのは私が舞台をやっていたからだな、ってめっちゃ思っていて。舞台や表現活動の経験は、これからの生きる力になるんじゃないかなと。

これも「ほしかぜ」をつくったいくつもの理由の1つになるんですけど、うちの娘たちにも社会で生き抜く力のようなものをつけてほしいと強く思ったんですね。だから、「ほしかぜ」の子どもたちも、演劇の世界に行ってほしいわけじゃなくて、そこで学んだ魅力とか自分を表に出す力とかを別の仕事で活かせたり、自分のやりたい道を見つけて「久しぶり、KAEDEさん」って足立区にまた戻ってくる未来をめっちゃ楽しみしています。

――めちゃくちゃイイ話ですね、ありがとうございました。

ほしかぜ
ホームページ
https://hoshikaze.jp/official/

「ガチアダチ サミット」登壇者のKAEDEさん(中央)と伊勢新九朗さん(右)と、聞き手の大島俊映(左)

登壇者=KAEDEさん、伊勢新九朗さん

聞き手=大島俊映(トネリライナーノーツ編集長)
トネリライナーノーツ記事
https://tonerilinernotes.com/tag/oshima/

編集補佐=しまいしほみ(トネリライナーノーツ 編集者)
トネリライナーノーツ記事
https://tonerilinernotes.com/tag/shimai/

撮影=山本陸(トネリライナーノーツ カメラマン)
トネリライナーノーツ記事
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