「irodori」足立区関原にある駄菓子屋 【ダチアダチ dachi.22】

ダチアダチ

ダチアダチ」は、足立区・荒川区の物語を届けるメディア「トネリライナーノーツ」が応援する企業や団体を紹介する企画です。

「irodori」を担当する「Chance For All」職員の廣瀬陽香さん(右から2人目)と学生ボランティアのみなさん
「irodori」を担当する「Chance For All」職員の廣瀬陽香さん(右から2人目)と学生ボランティアのみなさん

dachi.22では、特定非営利活動法人「Chance For All」が運営している足立区関原にある駄菓子屋「irodori」を紹介します。

irodori

「irodori」は、子どもたちがふらっと来て、駄菓子を食べながらおしゃべりをしたり宿題をしたりする事ができる足立区関原の駄菓子屋です。

「irodori」の入口
「irodori」の入口

どんな環境で生まれ育った子も気軽に来られる“こどもの居場所”を作るべく、特定非営利活動法人「Chance For All」の学生チームが立ち上げました。

たくさんの駄菓子
たくさんの駄菓子

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「irodori」のストーリー

「irodori」に関する質問に、特定非営利活動法人「Chance For All」グループ事業マネージャーの廣瀬陽香さんが回答します。

「Chance For All」 グループ事業マネージャーの廣瀬陽香さん(撮影:2023年7月)
「Chance For All」グループ事業マネージャーの廣瀬陽香さん(撮影:2023年7月)

――どんな想いから「irodori」が始まりましたか?

廣瀬さん こどもたちの居場所を作りたいと思い、「irodori」がはじまりました。始めるきっかけになった課題が大きく分けて2つあります。

1つ目は、日本の地域社会が抱える課題です。近年、地域ではこどものあそびに大切な「3つの“間”(時間、空間、仲間)」が喪失しています。例えば、公園でもボールあそびが禁止されていたり、こどもが自由に過ごせる場所が少ないという問題があります。それを解決するために、「こどもが自由に過ごせる居場所を作りたい」と考えました。

2つ目は、駄菓子屋「irodori」の母体である特定非営利活動法人「Chance For All(CFA)」の課題です。「CFA」は「生まれ育った家庭や環境に関わらず、だれもがしあわせに生きていける社会の実現」を理念に掲げ、学童保育を運営しています。

「CFA」の運営する学童では、奨学制度と言って困難家庭の子は無料で通える仕組みがありますが、こどもたちの命を預かる保育施設なので、通うためには保護者の申し込みが必要です。つまり、保護者がアンテナをはって情報収集する家庭のこどもしか通うことができないという課題がありました。そこで、「保護者の意思ではなく、こどもが自らの意思でいつでも来ることができる居場所を作りたい」と考えました。

運営するのは大学生たち
運営するのは大学生たち

――「irodori」が大切にしている事はありますか?

廣瀬さん 「誰かと比べて評価しない」、「なにをしてもなにをしなくてもいい」、「居るだけでいい場所」ということを大切にしています。

今、苦しさを感じながら生きているこどもたちが多くなっています。データで見ても、30年くらい前から段々と、日本のこどもたちの幸福度は低下しています。ただ、平日に毎日通う学校は、30年前からほとんど変わっていません。それどころか、学校は確実に良くなってきています。

では、なぜ幸福度が低下して、こどもたちが苦しんでいるのか。それは、放課後の在り方が大きく変わったからです。昔は、放課後は誰もがヒーローになれる場所でした。授業が終われば学校を飛び出して、みんなで外遊びをしていました。学校で成績が悪いと言われようと、放課後になればこどもたちの世界で、1人1人の得意が輝いていました。大人の価値観とは異なる、こどもたちの想いや感情で生きられる時間だったのです。また、放課後の時間で、良いことも悪いことも、楽しいことも嫌なことも経験しながら「大人になる」ことができました。

そのような経験を積み重ねることで、自分で決めて、人の評価を気にせず、その子らしく生きることができるようになると考えています。だから、駄菓子屋「irodori」では、こどもたちも1人1人が自分の人生を生きていってほしいです。

「誰かと比べて評価しない」、「なにをしてもなにをしなくてもいい」、「居るだけでいい場所」
「誰かと比べて評価しない」、「なにをしてもなにをしなくてもいい」、「居るだけでいい場所」

――どんな仲間と「irodori」の活動を行っていますか?

廣瀬さん  想い溢れる学生たちです。 駄菓子屋「irodori」は、学生たちだけで運営を行っています。駄菓子を仕入れたり、週7日の営業をするためのシフトを決めたり、イベントを作り上げたり。1つ1つの取り組んでいることは地味で、苦労することも多いですが、誰かのためになりたいと思う学生メンバーが集まっています。

こどもたちにとってどのような意味があるかを考えながら、1つ1つのことに取り組んでいるメンバーが多くいます。本気で取り組んでいるからこそ、衝突することもありますし、悔しくて涙が流れることもあります。そんな困難を乗り越え、今の学生チームがあります。また、遊ぶ時は目一杯楽しみます。先日は大所帯で遊園地に行って、楽しんでいました。 真剣に楽しくやるからこそ、笑いあり涙ありの「CFA」学生チームです。

――どんな人と繋がると「irodori」の活動が前進しますか?

廣瀬さん どんな方とも、「irodori」と繋がっていただきたいと考えています。苦しい状況で生きているこどもたちが多い現在ですが、こどもの放課後の価値に対して、世間や行政からご理解いただくこと、ご協力いただくことが難しい状況があります。駄菓子屋「irodori」の活動を、こどもが、保護者が、地域が、団体さんが、行政の方が、多くの方が知っていただけると、こどもたちの未来も変わってくると考えています。

1人でも多くの方に知っていただいて、こどもたちを見る目が温かくなってほしいです。「irodori」を広めていただけるように、我々も発信していくことを大切にしていきたいと考えています。

笑あり涙ありの学生チームによる運営
笑いあり涙ありの学生チームによる運営

――「irodori」のこれまでの実績があれば教えてもらえますか?

廣瀬さん 今年の7月に、「irodori」の2周年を記念して、3日間の夏祭りを実施しました。「irodori」がある商店会や地域の団体の方も巻き込んで、合計約3000人の方に来場していただきました。それをきかっけに、地域の方から「irodori」の存在をより知っていただいて、地域が賑わう3日間を作り出すことができました。また、2023年5月5日にNHKの「君の声が聴きたい~子どもや若者の幸せを考える~」という番組で、「irodori」の特集をしていただきました。

ただ、大きいイベントや発信もありますが、学生たちだけで週7回、毎日こどもたちのために居場所を作り続けていることが何よりの実績だと考えています。

楽しい放課後のひとときを駄菓子屋で
楽しい放課後のひとときを駄菓子屋で

――「irodori」を今後どのようにしていきたいですか?

廣瀬さん こどもたちの居場所として、「irodori」を大切にし続けたいと考えています。運営する学生メンバーは、最初は1人から始まりましたが、今は年間100人以上の学生たちが関わってくれています。また、運営日も週1から週7日になり、イベント開催、駄菓子の出張販売の依頼も増えました。どれも学生メンバーの挑戦です。学生生活は長くも短い、その間で学生だからこそできること、そのメンバーだからこそできることに、挑戦していってほしいと考えています。

そして、「誰かと比べて評価しない」、「なにをしてもなにをしなくてもいい」、「居るだけでいい場所」を大切にしながら、学生メンバーが主体となってぜひ進化していってほしいと考えています。 ぜひ学生たちが作り出す、駄菓子屋「irodori」を今後もお楽しみに!

「irodori」のプロフィール

「irodori」のプロフィールは、以下の通りです。

ホームページ
https://dagashiya-irodori.com/

住所
足立区関原3-15-3