スリランカ人師範が指導する、子ども中心の「舎人空手道教室」

ギフトストーリー

応援というギフトを、ストーリーで届ける「ギフトストーリー」。今回は、日暮里舎人ライナー「見沼代親水公園駅」より徒歩約10分のところにある「舎人空手道教室」を紹介。

師範のラクシュマン・アガラワッタさん
師範のラクシュマン・アガラワッタさん

空手のためにスリランカから来日

「ギフトストーリー」の依頼主は、足立区古千谷本町に住む追分脩司さん。追分さんは「舎人空手道教室」に息子さんを通わせる中で、自身も興味を持ち、今では親子で空手教室に通っている。その「舎人空手道教室」と、そこで出会った師範を、たくさんの人に知ってほしいという。

日本空手道白堊会の「舎人空手道教室」は、水曜(舎人第一小学校体育館/足立区舎人)と土曜(白堊会本部道場/川口市本蓮)の週2日で午後6時からの約3時間。以前は子どもの生徒しかいなかったが、現在の師範になってから、少ないながら大人も増えてきた。師範を務めているのは、スリランカ出身のラクシュマン・アガラワッタさん。1977年に15歳で空手を始め、1981年のスリランカ空手大会で優勝。82年、83年に準優勝、86年、87年に再び優勝を果たすなど、堂々たる成績の持ち主だ。空手を素晴らしさをもっと広めたいと、空手発祥の地で指導員として活動している。

練習の様子
練習の様子

アガラワッタさんが初めて来日したのは1989年のこと。段位を取るためにスリランカの同志とともに訪れた。そして、空手発祥の地で研鑽を積みたいと1991年に2度目の来日。以降は日本で暮らしながら練習にはげみ、数々の大会に出場してきた。「来日当初は『おはようございます』『こんにちは』『ありがとうございます』ぐらいしかわからなかったです」と、アガラワッタさん。それでも、「日本で師事する師範の言葉を理解したい」「もっと空手を知りたい」と、必死で日本語を学んだという。

来日した当初から、日本で空手の指導者になる夢を持っていた彼は、選手としてのキャリアを終えてからも日本に残り、指導員として活動。2度目の来日から22年後の2013年、「舎人空手道教室」の当時の師範が勇退したあとを引き継ぐかたちで、同教室の師範となった。

「とにかく空手が好き」というアガラワッタさんだが、「楽しいから」だけではなく、自分の人生を変えてくれた存在ということで、空手に対して格別の想いを持っているという。

話し中のアガラワッタさん
笑顔で話を聞かせてくれるアガラワッタさん

人生を変えてくれた空手との出会い

アガラワッタさんの出身国であるスリランカは空手が盛んで、少なくとも彼が育った街では、どの学校でも空手を授業に取り入れていたそう。またスポーツ人口の面でも、曰く、空手が一番多いほどだという。

空手のメッカと言えるスリランカで、アガラワッタさんは15歳で本格的に空手を始めた。動機は叔父が空手をやっている姿に憧れたから。「カッコいい」から始まった空手道だが、学ぶ中で、礼節を重んじる空手の真髄に魅了されていった。

「やんちゃな子どもでした」。アガラワッタさんは、空手に出会うまでの自分をそう振り返る。そして、そんな自分を爪弾きすることなく、「礼節」や「他者への敬意」「仲間と研鑽を積むこと」の大切さを根気強く教えてくれた道場の先生に、今でも感謝しているという。

道場に入る際に礼をする。先輩や一緒に学ぶ仲間に挨拶をし、人の話をちゃんと聞く。人として当たり前のことではあるものの、言うは易く行うは難し。それを特に大事にしているのが空手だ。例えば、空手の練習の一つである「組手」。経験が浅い人の中には、カッとなってわざと突きを入れたり技をコントロールしなかったりする人もいるそうだが、そんなことをしていると、やがて相手をしてくれる人がいなくなってしまう。もちろん痛い思いをすることもあるが、相手への敬意や気遣いを忘れてはいけないという。

アガラワッタさんは、空手の技を磨くのとともに、そうした他者への敬意などを学んだ。やがて、喧嘩することなどを恥ずかしく感じるようになったという。

「たらればですけど、空手に出会わなければ、自分は小さい頃の『やんちゃ』なままだったかもしれない。それほど、自分にとって空手は大事な存在なんです」

練習の様子
練習の様子

子どもの「成長」が何よりうれしい

現在、指導する立場となったアガラワッタさんは、空手を通じて、子どもたちに「正しい人間とは何か」を知ってほしいと考えている。

「今だと空手はスポーツとして認知されている方が多いかもしれませんが、自分にとってはやっぱり『武道』。だから、強くなることと『礼儀』や『他者への敬意』は切り離せない。『人間育成』は、空手の大事な部分の一つだと思うんです」

アガラワッタさんは、道場に通う子どもたちに対して「親や学校の先生の話を聞くこと」、そして「話を理解し行動に移すこと」を日々の生活の中で意識するよう伝えているという。もちろん、道場に通う生徒が大会で勝てばうれしい。でもそれ以上に、挨拶ができなかった子ができるようになったり、ちゃんと話を聞くようになったりするのを見ると、指導員としてのやりがいを感じるそうだ。

アガラワッタさんの直近の目標は、大人の生徒を増やすこと。大人は、空手を上達すべく自分の意志で門を叩くことが多い。大人の練習に向き合う姿勢や、人への接し方が、子どもたちのいい見本になると考えているからだ。「大人の背中を見て、子どもたちはたくさんのことを学びます。それは言葉で教えるよりも効果的です」とアガラワッタさん。「そうやって子どもはもちろん、大人も一緒に成長できる場として、空手教室が盛り上がっていけばうれしいですね」。

4人の指導員
指導員の中には高校生も

日本空手道白堊会 舎人空手道教室
住所
①舎人第一小学校 第2体育館 
 足立区舎人6-4-1
 ※水曜日18:00-20:30
②川口本部道場
 川口市本蓮4-6-19(園田製作所内)
 ※土曜日18:00-21:00
ホームページ
https://www.karatedo-hakuakai-toneri.com/index.html
電話
090-8319-8570(担当:追分)
LINE公式
https://lin.ee/yA53IK2

今回の応援者 追分脩司さん
「大成コーポレーション」代表
https://www.taisei-rugs.tokyo/

追分脩司さん
追分脩司さん

「礼儀を覚えたり健康な体を作ってほしいということから、我が子を通わせるようになりましたが、自分自身も興味を持ち、一緒に習うことにしました。空手に対して真摯に向き合うアガラワッタ先生のことを、地域の方々に知ってもらいたく、今回、ギフトストーリーの依頼をさせてもらいました」

文=井上良太(トネリライナーノーツ 副編集長)
トネリライナーノーツ記事
https://tonerilinernotes.com/tag/inoue/

撮影=山本陸(トネリライナーノーツ サポーターズ)
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