地域の子どもたちへの食事支援プロジェクト「にぎりむすびギフト」では、足立区東伊興のおにぎり屋「にぎりむすび」の栄養満点のお弁当を、地域の子ども団体(NPO法人や子ども食堂)を通じて、それを必要としている子どもたちに無料で継続して届けています。この連載は、「にぎりむすびギフト」に関わる人たちの物語を描く「Team NIGIRIMUSUBI Gift」です。
今回のvol.5では、トネリライナーノーツの人気企画「舎人線寫眞(トネリライナーポートレート)」で撮影を担当する写真家の山本陸さんを取材しました。山本さんは、「にぎりむすびギフト」のスポンサーであり、また、「にぎりむすびギフト」のプロモーション動画で監督も務めました。聞き手は、トネリライナーノーツ編集長で、「にぎりむすびギフト」主宰の大島俊映が務めます。
(取材日:2021年10月2日)
写真家の山本陸さん
1994年10月生まれ、長野県出身の27歳。愛称は「りくくん」。
大正大学在学中の2019年2月に足立区古千谷の全學寺で開催された、東日本大震災の被災地である南三陸の復興支援イベント「すきだっちゃ南三陸」で、現地の今を撮影した写真展を開催。
大学卒業後の現在はプロのフリーカメラマンとして、企業案件から個人のイベントまで幅広く撮影を請け負う他、「1枚の写真でその人の物語を伝える」をコンセプトとするトネリライナーノーツの企画「舎人線寫眞」を続けている。
プロとしてのスタート
――なんでカメラマンになろうと思ったの?
りくくん 大学1年生の時にInstagramが流行って、「いいね!」がほしくて、オシャレな写真を撮り始めたんです。最初はフィルムっぽい感じがオシャレだなと思ったから「写ルンです」を使って、そこからカメラにはまっていきましたね。「いいね!」は結局あまりもらえなかったんですけど、大学2年生の時に人生初の一眼レフカメラを買ったり、ちょっと高いパソコンを買って写真を編集をしたり、写真サークルに入ったりして、写真の世界にドンドンのめり込んでいったわけですよ。
――プロになろうと思ったのは?
りくくん 大学2年の後半から大学3年にかけて、色々な大人の方と交流する機会が増えて、その人たちに助けてもらいながら撮影をしているうちに「カメラマン、ありだな!」と思って。最終的に、卒業前には「カメラマン、いける!」となったので、カメラマンになりました。
――なんの被写体を撮ってる時が1番自分らしさが出てると思う?
りくくん 女性ですかね。大学の写真サークルで1ヶ月か2ヶ月に1回ぐらいのペースで展示があったんですけど、そこでよく題材にしていたのが女性のポートレートで、コミュニケーションを取りながら、あーだこーだやっていくうちにお互いにノッてきて、完成した写真を見てもいいなって思うことが多々あったんですよね。撮っていて楽しいです!
初めての写真展とその後
――りくくんと出会うキッカケで、初めての写真展にもなった被災地復興イベント「すきだっちゃ南三陸(注1)」はどうだった?
りくくん 企画運営のところは思い出したくないですね(笑)でも、写真展にはたくさんの人が来てくれて、アンケートで「震災後の被災地に足を運ぶ機会がなかったけれど、現状を写真で見ることができて良かった」というような肯定的な意見が多くて良かったです。
――プロのカメラマンとして仕事をする中で、「すきだっちゃ南三陸」はどんな意味があった?
りくくん 「お金を稼ぐ」のか「自分のやりたい表現をする」のか、という事について考えさせられました。さっき言ったように、写真展に対して肯定的な意見はたくさんあって、学生の仲間たちも良かったよと言ってくれたんですけど、これがお金とか商業とかに結びつかないとプロとして生きていけないのも同時に思ったんですよね。
――そうなんだ。
りくくん そこから大学卒業までの1年間をどう過ごそうかと思っていたら、コロナ禍になって。その時に、現実的な問題として奨学金も返さないといけないし、お金を稼がないと食べていけないわけだから、好きな事ばっかりやっていてもダメだなという事に気付けて、商業的な写真をしっかり撮れるようになろうと考え方をシフトしました。
写真家として
――個人的には、足立区梅島の「ほしかぜ(注2)」や、「子ども旅プロジェクト(注3)」で撮影した子どもの写真が良いなと思っているんだけど、本人としてはどうなの?
りくくん 最初はめっちゃ苦手だったんですよ。大学3年生の時に豊島区の「おやこ小学校(注4)」っていうイベントを撮影するってなったんですけど、絶対に無理だなと思って。子どもは苦手だし、なんか喋れないし。ただ、その時の写真を見てくれた人たちは、意外と良いよ!って言ってくれて。なんでかなと考えた時に、「おやこ小学校」の運営の人から「対等に接してる感じがいいんじゃない」って言われたんですよ。子どもが苦手だからこそ「よしよし」って接するのではなくて、友達みたいに接しようと思って、それが良かったみたいです。そこから、子どもを撮影する事に対して、自信が持てるようになっていきましたね。
――今後の展望はある?
りくくん まずはしっかりお金を稼げる写真家になりたいと思っています。それは何でかと言うと、信頼も実力も備えているから、お金を稼げていると思うので。色々な経験や勉強を通じて自分の技術を磨いて、地道にやっていきたいですね。
「にぎりむすびギフト」について、りくくんのコメント
「スポンサーもしていますけど、プロモーション動画を制作させてもらったのが大きかったです。動画は写真と考え方が違うし、出演してくれた「ほしかぜ」の子どもたちも全然言うことをきいてくれないし(笑)撮影は大変だったんですけど、やっぱり子供が笑顔で食事してるシーンが一番大切だなと思って、それを収める事ができて良かったです。スポンサー料や支援のお金を払うと、その行き先はこうなってるんだよっていうのを、今回の動画を見て知ってほしいですね」
注2)「キッズパフォーマンス集団 ほしかぜ」についてはこちら
写真家の山本陸さん
ホームページ
http://riku-yamamoto.work/
Instagram
@ganometherapics
1日撮影権(ギフトストア トネリライナーノーツ)
https://the12th.thebase.in/items/48096356
取材・撮影=大島俊映(トネリライナーノーツ 編集長)
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