無料のコーヒースタンドでつくる遊び場「地域のこたつ」 大島睦美さん【東東京のしなやかな女性1】

新型コロナに負けない!地域のしなやかな女性たち

大学生フォトグラファーとして活動する山本陸さんが、東東京地域で頑張る「女性」を紹介する 企画「新型コロナに負けない!地域のしなやかな女性たち」の第1回。

今回は舎人駅より徒歩6分、全學寺で週末に「ゼンガクジ フリー コーヒースタンド」を開く、大島睦美さんにインタビュー。
(取材日:2020年4月17日)

山本陸による大島睦美さんインタビュー
zoomを使ってインタビュー

私はフォトグラファーとして、様々な写真作品を制作しており、モデルの9割は女性だ。それは、女性の方が表現力が豊かで、また、人に対してもモノに対しても繊細で優しく、様々な視点を持っていると感じるから。私の写真家活動の中で、女性の内面に魅力を感じることが多々あった。それを写真としてだけでなく、言葉にして伝えたいという思いがあり、この企画を行うことにした。

今回取材するのは、全學寺の副住職・大島俊映さん(以下、大島さん)の奥さんである大島睦美さん(以下、睦美さん)。私は、2019年2月に南三陸チャリティーイベント「第1回すきだっちゃ南三陸」の運営として大島さんと繋がりがあった。それ以来意気投合し、なんだかんだ月1くらいで飲みに連れて行ってもらっている。

大島さんは常日頃「むっちゃん(睦美さん)が1番可愛い」と惚気ている。大島さんの言う通り、顔をくしゃっとさせる笑顔がなんとも可愛らしい人だ。初めてお会いした際、睦美さんの方から気さくに声をかけてくれた。心の距離の詰め方がうまくて、とても話しやすい人だと思った。そんな睦美さんは、ゼンガクジ フリー コーヒースタンドのバリスタとして、毎週土日、カウンターに立つ。睦美さんの話やすさに惹かれてか、コーヒースタンドには毎週、いろんなお客さんが訪ねてきていた。

しかし現在は、新型コロナウイルスの影響で活動自粛を強いられている。毎週当たり前のようにあった環境が突然なくなってしまった今、睦美さんはどのように地域とつながり、どのように貢献しようとしているのだろうか。

ゼンガクジ フリー コーヒースタンドを守るために

2017年12月にスタートしたゼンガクジ フリー コーヒースタンドの根幹は、美味しいコーヒーをお客さんに提供することだが、お寺をランドマークにして、人々が集まる場所にしたいという気持ちもある。睦美さんの頑張りもありそれがかたちになってきた中で、新型コロナウイルスの影響により活動自粛を余儀なくされた。いつものように集まってコーヒーを楽しむことができない中、睦美さんは「何かできることはないか?」と、いくつかの取り組みを始めた。

自粛期間中にコーヒースタンドができることは?

コーヒースタンドがいつ再開できるかわからない中でも、睦美さんには、コーヒーを楽しんでほしい、コーヒースタンドの雰囲気を忘れずにいてほしいと言う思いがある。そこで、「クラウドファンディング」と「夫婦でラジオ」という2つの取り組みを始めた。

クラウドファンディングでは、ゼンガクジ フリー コーヒースタンドで使っているコーヒー豆を自宅に届けることを主なリターンにしている。これまでコーヒースタンドに通ってくれた人はもちろん、様々な人に、コーヒースタンドの活動を伝えたい、美味しいコーヒーを自宅で楽しんでもらいたいから。さらに、リターンには睦美さん自らが手書きしたコーヒーの入れ方も同封されている。そうすることで、自宅で手軽にゼンガクジ フリー コーヒースタンドの味を楽しめるわけだ。

そしてもう一つは「夫婦でラジオ」。「あなたのコーヒータイムに無駄話をお届けする」をコンセプトに、「ゼンガクジ フリー コーヒーラジオ」を夫妻で始めた。すでに第4回まで配信されており、2人の軽妙な掛け合いから仲の良さがよく伝わってきて、ゆるくほんわかと時間が流れる。睦美さんの人懐っこさがラジオからも伝わってくる。

「ゼンガクジ フリー コーヒースタンドに来てくださった方々に、コーヒーの味、スタンドの雰囲気を感じてもらい、おうち時間を楽しんでいただきたい」と睦美さんは語る。

こたつになりたい

ゼンガクジ フリー コーヒースタンドに続き、クラウドファンディングや、ゼンガクジ フリー コーヒーラジオなど、様々な活動を行っている睦美さん。コーヒースタンドの活動が自粛となっても、それにもめげず形を変え、それどころか活動を拡大させている。そのパッションはどこから生まれるのか。そこには夫婦で目指す「地域だんらん」という夢があるという。

「どんなことがあっても、私は変わらずコーヒースタンドに居続けて、みんなの居場所になりたい。ゼンガクジ フリー コーヒースタンドをこたつにして、地域の人々が自然とそこに入ってくるようにしたいんです」と、睦美さんは語る。このような、地域をひとつの家族にする、地域の人々の居場所作りが「地域だんらん」の目指す形だ。

現在、ゼンガクジ フリーコーヒー スタンドは睦美さんの居場所であり、地域の人々の居場所でもある。「新型コロナウイルスが収束したら、また地域の方々と集まれる日が来るのを願っています」と、睦美さんは目を輝かせた。

ゼンガクジ フリー コーヒー
住所
足立区古千谷本町2-22-20
ホームページ
https://zengakujifreecoffee.com/
ゼンガクジ フリー コーヒーラジオ
https://anchor.fm/zengakuji12
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 「新型コロナに負けない!地域のしなやかな女性たち」取材者の山本陸
「新型コロナに負けない!地域のしなやかな女性たち」取材者の山本陸

文=山本陸(トネリライナーノーツ サポーターズ)
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