「駄菓子屋 かしづき」足立区加平にある駄菓子屋【ダチアダチ dachi.12】

ダチアダチ

ダチアダチ」は、足立区・荒川区の物語を届けるメディア「トネリライナーノーツ」が応援する企業や団体を紹介する企画です。

「駄菓子屋 かしづき」店主の佐々木隆紘さん(右)と女将の佐々木明日香さん(左)
「駄菓子屋 かしづき」店主の佐々木隆紘さん(右)と女将の佐々木明日香さん(左)

dachi.12では、足立区加平にある駄菓子屋「駄菓子屋 かしづき」を紹介します。

駄菓子屋 かしづき

「駄菓子屋 かしづき」は、足立区加平で、月に数回営業する駄菓子屋です。地域に佇む普通の駄菓子屋でありながら、保護者が様々な子育ての悩みを聞ける場であり、また、子どもが安心して気軽に来られる場でもあります。

 「駄菓子屋 かしづき」 の駄菓子
「駄菓子屋 かしづき」 の駄菓子

「子どもを育てるのは、親だけが行うものではなく、社会で行うべきである」という考えのもと、NPO法人「presents」が運営しています。

駄菓子を買っている様子
駄菓子を買っている様子

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「駄菓子屋 かしづき」のストーリー

「駄菓子屋 かしづき」に関する質問に、店主の佐々木隆紘さんが回答します。

 「駄菓子屋 かしづき」店主の佐々木隆紘さん (撮影:2021年7月)
「駄菓子屋 かしづき」店主の佐々木隆紘さん(撮影:2021年7月)

――どんな想いから「駄菓子屋 かしづき」が始まりましたか?

佐々木さん 駄菓⼦屋という敷居の低い⼦どもたちの社交場を作ることによって、⼦どもたちが⾃分の意思で⾃由に居られるサードプレイスとしての機能と、地域の⼦どもたちと大人の接点を作り出してみんなで⼦どもを⾒守れる社会にしたいという想いから「駄菓⼦屋 かしづき」が始まりました。

私⾃⾝の本職は、理学療法⼠であり医療機関にて様々な患者さんと接しています。その中で、予防に関⼼があり、健康維持のために必要な運動や⽣活習慣のみならず、社会疫学に関する論⽂を読む機会がありました。その中で幼少期における“被養育体験”が将来の健康に⼤きく影響するということを知りました。また、信頼できる⼤⼈がいたり、「ロールモデルになる⼤⼈が親以外にいるということが重要だ」と研究でも報告されています。

実際に患者さんと接する中でも、幼少期に逆境的な環境にあった患者さんがその時の苦悩に⻑年悩まされ続けているケースも少なくありません。そういった患者さんたちとの関わりから問題意識を持ち、どうすれば逆境的な環境にある⼦どもたちの健康を守れるのかを考えていました。そこで導き出された1つの提案が、地域の繋がりを持ちやすい社会にするということです。

たくさんの懐かしい駄菓子
たくさんの懐かしい駄菓子

――「駄菓子屋 かしづき」が大切にしている事はありますか?

佐々木さん オープン前から⼀貫して、⽬的意識を明確に持つことを大切にしています。私たちの活動の⽬的は、この地域の⼦どもたちにとって、信頼できる⼤⼈と繋がったり、安⼼できる場所を作ったりすることです。

運営していると次から次へと悩まされることが出てきますが、その時に⽬的意識を明確にしておくことで、ビシッと選択することができていると思います。例えば、駄菓⼦屋を運営していると多⽅⾯の⽅々からお声がけを頂き、⾊々とお誘いやご提案を受けることも増えてきています。「楽しいことをしたい!」とか、「地域を盛り上げたい」とかという想いは素敵だと思いますし、共感します。しかし、そこで本来の⽬的意識を⾒失えば、何のための駄菓⼦屋運営なのか軸がブレてしまいます。

私たちの活動は、特別なことをするのではなく、淡々と地道に普通の駄菓⼦屋を続けることです。⼦どもたちに声掛けをして、街で会えば挨拶をする。そういった、当たり前の⽇常をどう作り上げるかが⼤切で意味のあることだと考えて運営しています。

駄菓子を選んでいる様子
駄菓子を選んでいる様子

――どんな仲間と「駄菓子屋 かしづき」の活動を行っていますか?

佐々木さん 基本的に妻と私の2⼈で⾏なっていますが、店舗の場所を貸してくださる⽅や、イベントの時にボランティアスタッフとして⼿伝いに来てくれる⽅々、そして何よりいつも来てくれる常連の⼦どもたちや保護者の⽅々に⽀えられて運営できています。

少しでも地域のため、⼦どもたちのためになればと思い始めた活動ですが、始まってみたら私たちの⽅が⽀えられていることばかりだと感じますし、来てくれる⽅々がいるからこその運営だと感じています。そういう意味では、お客さんも⼀緒に創り上げる仲間だと考えています。それと、私たちの本職の仕事の上司や同僚などにもご理解いただき、たくさん応援をしていただいています。

――どんな人と繋がると「駄菓子屋 かしづき」の活動が前進しますか?

佐々木さん とにかく地域の⼦どもたちや保護者の⽅々との繋がりが⼤切だと考えています。1⼈の⼦が友達を連れてきてくれたり、保護者の⽅々が紹介して何⼈も連れてきてくれることもあります。そんな⾵に広がりがあると、どこかで悩んでる⼦どもや保護者の⽅々とも繋がる機会があると思いますし、少しでもそういった⽅々にとってホッとできる場所になってくれたらなと感じています。

それと個⼈的には、今後は研究活動などにも発展させていきたいと考えています。私⾃⾝は研究者ではないので、社会疫学の分野の研究者の⽅や⾏政の⽅と⼀緒に何かしらアクションリサーチに繋げていけたらと思っております。

建物の2階にリニューアルオープン
建物の2階にリニューアルオープン

――「駄菓子屋 かしづき」のこれまでの実績があれば教えてもらえますか?

佐々木さん 2021年3⽉に開店して、毎⽉3回ペースで2年間運営を継続してきました。多い時は1⽇100⼈くらいの⼦が買い物にきてくれます。そんな中、⼩学校からご連絡をいただき、授業で「駄菓子屋 かしづき」に訪問をしてくれたり、駄菓⼦屋の活動に共感してくださった⾞いすバスケットの選⼿が遊びに来てくれたりする機会もありました。また、区内の機関やメディアからの取材による反響もありました。昨年は、駄菓⼦屋の活動について学会発表をして、全国のみなさんからご意⾒をいただく機会などもあり、本当に全国から応援してくださる⽅がいて感謝しています。

――「駄菓子屋 かしづき」を今後どのようにしていきたいですか?

佐々木さん 「駄菓⼦屋かしづき」は、今年の4⽉から場所を移転して、新たな⼀歩を踏み出しました。今度の場所は広い室内のスペースをお借りしているので、何かもっと⼦どもたちが居⼼地良く、ゆっくり安⼼して過ごせるような⼯夫をしていきたいなと考えています。

また、駄菓⼦だけでなく、栄養のあるもの(味噌汁など)を提供できるような仕掛けも考えていきたいと思っています。⼦どもたちの声も聞きながら、⼯夫を続けていきたいです。

「駄菓子屋 かしづき」のプロフィール

「駄菓子屋 かしづき」のプロフィールは、以下の通りです。

駄菓子屋 かしづき
ホームページ
http://dagashiya-kashizuki.com/

住所
東京都足立区加平1-8-23-2階