ドットリボンに込める子育てママへのメッセージ「子育てパレット」三浦りささん ー和尚代筆 其の四ー

トネリライナーノーツ編集長であり、日暮里舎人ライナー「舎人駅」より徒歩6分の全學寺副住職である大島が、地域の中にある物語を、その物語の主役たちに代わって描く連載が「和尚代筆」です。
其の四では、足立区梅島の「マタニティ&ベビーハウスohana」を拠点に、子育てママやパパに向けて様々な取り組みをしているNPO法人「子育てパレット」代表理事の三浦りささんの物語をお届けします。
(取材日:2021年2月24日)

「NPO法人 子育てパレット」代表理事の三浦りささん
「NPO法人 子育てパレット」代表理事の三浦りささん

雑談SNS「Clubhouse」でのご縁

「Clubhouse」という“雑談SNS”のアプリをご存じだろうか。一言で表すと、このアプリでは、オンライン上で音声のみの井戸端会議ができる。

私はこのアプリを活用して、魅力的な人たちとの新たなご縁をいただいているが、そこで知り合ったのが、NPO法人「子育てパレット」代表理事の三浦りささんだ。柔らかく優しい声で、自らの活動の事を熱っぽくお話してくれた三浦さんに、トネリライナーノーツでの取材を申し込んだところ、快くオッケーしてくださり、今回の機会を得た。

取材までに1度もお会いした事がなかった、三浦さん。彼女のお話を伺うために、 「マタニティ&ベビーハウスohana」にお邪魔した。三浦さんの物語を、描く。

初対面の三浦さんと
初対面の三浦さんと

自分色の子育てを見つけられるように

NPO法人「子育てパレット」を始める前、三浦さんはいわゆる “自宅サロン”をオープンしていた。ママ向けのエステやヘッドスパ、リフレクソロジーをやりつつ、子ども向けにベビーマッサージや絵本の読み聞かせなどを実施してきたのだ。

そんな活動の中、自宅サロンでは子育ての悩みから「泣いてしまうママが多かった」と言う。お話をしていて相手を肯定する言葉をかけると泣き出してしまったり、申込みのメールで長文の相談を受けたりという事も。そうやって、多くのママたちのSOSを受け取っているうちに、「もう少し社会が変わっていけば、ママたちの状況は変わる事ではないか」と、三浦さんは考えた。

個人で行政に対して働きかけをしてみたが、あまり良い感触は得られず。それならばと、ベビーマッサージ講座の同期でもある遠藤光恵さんと佐藤佳代さんと共に、3人でNPO法人を立ち上げる事にした。当時、すでに3人で活動を共にしていて、企業からの依頼を受けて子育て関係の講座を開発したり、子育てサークルに出向いて奉仕をしたりしていたので、NPO法人を作るのは自然な流れだった。

2011年、NPO法人「子育てパレット」を設立。「不安や迷いのあるお母さんたちが、自分色の子育てを見つけられるように」という想いを込めて、三浦さんたちは法人の名前を付けた。

左から遠藤光恵さん、三浦さん、佐藤佳代さん
左から遠藤光恵さん、三浦さん、佐藤佳代さん

マタニティから未就園児の子どもがいる時期までのママをサポート

「子育てパレット」では、設立以来10年以上も24時間365日、ママからの相談を受け付けている。また、設立から1年強の2013年には、足立区栗原の古民家に拠点を設け、後に縁があって、現在の梅島の地にそれを移した。その拠点の名前が、「マタニティ&ベビーハウス ohana」。ここは、地域と子育て家庭を繋げる場所として、子育てママたちの拠り所となっている。

「子どもが幼稚園に通いだすと、ママたちも人の繋がりによって社会性ができてきて、しっかりと自分の足で歩いていけるようになると思います。だけど、そこに至るまでが大変だと思っているから。それで、マタニティから未就園児の子どもがいる時期までのママをサポートしています」と活動への想いを話す三浦さん。NPO設立から今日まで10年以上が経過したが、活動には苦労も多かった。

これまでの活動を振り返る三浦さん
これまでの活動を振り返る三浦さん

特に、NPO法人の設立当初は、行政に対して「なんで分かってくれないんだろう」と思って、悔し泣きをしてしまった事もあった。ただ、後になって、伝えてきた事1つ1つが解決されていって、それが嬉しかったとも。現在は「行政に対して何かをやってほしいと要望するのではなく、まずは自分たちでやってみて課題を見つけて、課題に対しても自分たちで解決できるように動いてみて、それでも本当に必要だったら行政に支援を頼る」というスタンスだ。

「子育てパレット」の活動は多岐にわたる。インターネットが普及して、情報の取捨選択が難しい時代のママに届けようという想いからスタートした機関紙『カラフル』は 、地域のドラッグストアやコンビニに置いてもらい、NPO法人の設立以来、発刊を続けている。また、子ども虐待をなくすことを呼びかける市民運動「オレンジリボン」を広めるために、「オレンジリボンママフェスタ」というママ向けの大規模イベントも毎年開催している。

ちなみに、綾瀬のマリアージュホテルで開催された「オレンジリボンママフェスタ」の第1回では、「当日の天気も良くなくて、誰も来なかったらどうしようとスタッフと話しながら不安になっていたけれど、行列ができるほど盛況で、結果として何千人というお客さんが来てくれたのは本当に嬉しかったです」と三浦さん。10年という年月を重ねた「子育てパレット」の物語、その充実が活動を振り返る三浦さんの表情から見て取れた。

「子育てパレット」による“ドットリボン”

ドットリボンに込める子育てママへのメッセージ

精力的に活動する「子育てパレット」が、次に力を入れるのが、“ドットリボン”だ。イベントなどで広めてきた「オレンジリボン」が子どもにフォーカスしている活動なのに対して、「ドットリボン」で救いたいのは、子育てママ。

リボンの結び目を境界線(子ども)として、左側は子育てに対してイライラしたり、虐待しそうだったり・虐待してしまったりという状態を、右側は元気に楽しく子育てをしている状態を示しているという。そして、子育てママは、左右どちら側のリボンに可能性も持っている。「子育ての形は十人十色」という考え方は、“パレット”という言葉を団体名に入れた、NPO法人の設立当初から変わらない。それで、リボンにドット柄をデザインした。

「苦しい時には声を出していいんだよ、と子育てママたちに伝えたい」と、三浦さんは言う。「未だに日本の社会は、お母さんだから頑張らなければいけない部分が多くて、しかも、“お母さんだから我慢しなさい”という風潮が根強いと思うんです。けれど、お母さんだって、泣きたい時は泣きたいし、辛い時は辛いから。そんな風に苦しい時には、それを声に出していいんだよと伝えたい。そして、そのSOSの声を周りの人たちが聞いてあげられるようになれば、優しい地域社会になると考えています」

三浦さんは、ドットリボンの普及に、今後は力を入れていく
三浦さんは、ドットリボンの普及に、今後は力を入れていく

「子育てパレット」は、足立区から「ドットリボン」の普及を目指す。「ドットリボン」のWebサイトには、子育てママやマタニティやシングル家庭向けの情報を発信する他、ママのための掲示板や、目的別に一目で分かる相談やサポートの窓口を掲載している。まさに、マタニティから未就園児までの子育てをするママたちが必要としている情報が、ここにはある。

ドットリボンの普及のために、「子育てパレット」は協力店を募っている。また、それをお手伝いしてくれるアンバサダーも募集中だ。ドットリボンのマークの横にQRコードを付けたステッカーを協力店に貼ってもらい、1人でも多くの子育てママに、ドットリボンを知ってもらいたいという。

「日本全国はもちろん、世界各地にいる日本人のママにも、ドットリボンの事を知ってもらって、子育てママの力になりたい」と、三浦さんは将来の展望を語った。子育てママたちのために活動を続ける三浦さん、その物語は、続く。

NPO法人 子育てパレット
住所(マタニティ&ベビーハウスohana)
東京都足立区梅島3-4-8-203(バンビ保育園 梅島園 2階)
ホームページ
https://kosodatepalette.jimdo.com/ohana/
「ドットリボン」の特設ページ
https://dotribbon.com/

「和尚代筆」取材者の大島俊映

文・撮影=大島俊映(トネリライナーノーツ 編集長)
Instagram
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Twitter
https://twitter.com/oshima_toshiaki
トネリライナーノーツ記事
https://tonerilinernotes.com/tag/oshima/

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