「麺や ひだまり」ポカポカな余韻【グルメライナーノーツ vol.5】

グルメライナーノーツ

日暮里舎人ライナー「日暮里駅」より 徒歩10分、「西日暮里駅」より徒歩12分の「麺や ひだまり」をご紹介します。

この連載は、「トネリライナーノーツ」サポーターズのメンバーが、日暮里舎人ライナー地域を中心とした足立区・荒川区の飲食店の中で、個人的にオススメのお店を紹介する「グルメライナーノーツ」です。vol.5となる今回は、トネリライナーノーツ編集長の大島俊映が紹介者をつとめます。

ラーメンとの向き合い方の変化

「麺や ひだまり」の外観
「麺や ひだまり」の外観

学生時代、将来はラーメン屋になりたいと思っていた事がある。あの頃は、学校の部活終わりや午前で授業が終わる土曜日に、近所にあるいくつかのお店をローテーションして、ラーメンばかりを食べていた。メルシー派ではなく、ほづみ派だった。こう書けば、年齢も学校もバレてしまうだろうか。

ラーメン屋になりたかったのは、自分好みのラーメンが毎日食べられるなんて最高!というノリだったと記憶しているが、お腹がポコッと出始めた現在は、健康の観点から鑑みて、ラーメンを毎日食べるという暴挙は犯せない。そうなると、週に1、2度食べるラーメンのお店選びは、私にとって重要な問題だ。

野菜が多めのタンメンや味噌ラーメンを出すお店に行くことが多くなったのは、自らの身体のことを考慮してのことだが、健康上はほとんど意味がないことは分かっている。けれど、ラーメンを食べるために、言い訳がほしいのは理解してほしい。私は野菜を摂取するためにラーメンを食べるし、水分を取るために焼酎を飲むのだ。

話が横道に逸れたが、私が最も好きなのは、スープも麺も具も全てが丼の中で調和しているラーメンで、それは今も昔も変わらない。最初の一口はもちろん、最後の一口までしみじみと美味しい、そんな一杯をこよなく愛している。

ラーメン激戦区の谷中周辺

グルメライナーノーツでも以前に紹介された「麺屋 番」をはじめとして、日暮里舎人ライナー地域にも美味しいと評判のラーメン屋は数多く存在する。谷中周辺に絞っても、とろみのある「モヤシソバ」や、チャーシューに特徴のある「醤油ラーメン」や、ボリューミーな「つけめん」や、ゴマがきいている「担々麺」等々。

それらの中で、私が群を抜いて好きなのが「麺や ひだまり」だ。谷中周辺、いや、日暮里舎人ライナー地域のラーメン屋で、最も通っていると言っていい。

「麺や ひだまり」の厨房
「麺や ひだまり」の厨房

谷中銀座商店街を抜けて、よみせ通りを道灌山方面に少し歩いたところに、ひだまりはある。このエリアは、地元に住む人だけでなく、新型コロナウイルス流行の前は国内外の観光客でも賑わっていた。そのため、ひだまりの店内にある券売機の横には、英語で書かれたメニューも置いてある。

ひだまりに私が通う理由はいくつかある。ちょい飲みを楽しめるから。息子を連れていくとモリモリ食べてくれるから。どのメニューを選んでもハズレがないから。そして、最大の理由は、最後の一口まで美味しい一杯を提供しているからだ。

麺や ひだまりのらぁ麺

スパイシーなスープと歯ごたえが小気味いい麺にシャキシャキの野菜がベストマッチな「味噌らぁ麺」、つゆの優しい酸味が食べ進めるほどに細麺に絡んでいき具のアクセントも楽しめる夏季限定の「冷やし中華そば」、そのどちらも文句なしに美味い。ただ今回は、ひだまりの通常メニューである「らぁ麺」を紹介したい。

ひだまりのらぁ麺のベースとなるスープは、塩と醤油。麺も通常の細麺の他に、券売機で買えば平打ち麺に変更することができる。

塩と醤油、細麺と平打ち麺、どちらの選択も甲乙つけがたい。余談だが、この記事の写真を撮影するために、ひだまりを訪れた時も、当初はお店が推している「和塩らぁ麺×手もみ平打ち麺」にしようと思っていたのだが、その時の気分だった「醤油らぁ麺×細麺」に土壇場で変更してしまった。それぐらい、毎回迷う。新垣結衣と長澤まさみのどちらが好きかを問われているようなものだ。

「麺や ひだまり」の味玉醤油らぁ麺
「麺や ひだまり」の味玉醤油らぁ麺

撮影日に食べた「味玉醤油らぁ麺」は、昔ながらの中華そばを今の時代に落とし込んだようなイメージの逸品だ。醤油のまろやかさを感じるスープにやや柔らかめに茹でられた喉越しの良い麺、炙りチャーシューも半熟の味玉もどこか安心する味わいで、派手さや高級感はないものの、滋味。油断をするとスープを全て飲み干してしまいそうになるぐらい、美味しい。

一方で、撮影日には食べなかった「和塩らぁ麺(手もみ平打ち麺)」は、一口スープをすすれば雑味のない澄み切った食材の香りが口の中に飛び込んでくる。手もみ平打ち麺は食感が良く、スープとも抜群の相性だ。こちらも、途中で食べ疲れるようなことは一切なく、美味しさは丼の底が見えるまで続く。

ひだまりに行くと、いつも感じることがある。らぁ麺を食べ終えて店から出ると、食べる前よりも少しだけ元気になっている気がするのだ。食後の余韻で、心がポカポカと温まるからだろうか。

身体を温めたければ日向ぼっこを。心を温めたければ、ひだまりへ。

麺や ひだまり
住所
東京都文京区千駄木3-43-9
電話
03-3821-5211
Twitter
https://twitter.com/hidamariken

文・撮影=大島俊映(トネリライナーノーツ 編集長)
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グルメライナーノーツvol.5執筆者の大島俊映
グルメライナーノーツvol.5執筆者の大島俊映