日暮里舎人ライナー「西新井大師西駅」より徒歩3分にある「西新井中学校」で実施された「いのちの誕生授業」を、「トネリライナーノーツ」編集長アシスタントの村田麗歌が取材しました。
(取材日:2022年3月11日)
こんにちは。「トネリライナーノーツ」編集長アシスタントの村田麗歌です。足立区立西新井中学校にて行われた「いのちの誕生授業」を取材という形で受けてきました。この記事は、その時のレポートとなります。
※2022年3月に行われた「いのちの誕生授業」は、任意団体「育てよう!いのちの根っこ」が足立区の公益活動げんき応援事業助成金を受けて、足立区の中学校8校に授業を実施しました。
いのちの誕生授業
「いのちの誕生授業」は、中澤さんが代表を務める「育てよう!いのちの根っこ」による中学生への“いのちの授業”です。「いのちの誕生授業」の内容として「誕生学プログラム」と「赤ちゃんとのふれあい授業」を実施していて、今年3月で10年目を迎えました。
コロナ禍となる前は、足立区内の10の中学校を回って授業を行っていましたが、コロナ禍となった2020年以降は、中止となってしまう事が多かったそう。「コロナの前は、生徒さんたちが本物の赤ちゃんを抱っこする体験もできていたんですけどね」と中澤さん。しかし、今回はコロナ禍の厳しい状況の中でも、無事に授業を実施できて、とてもうれしそうな様子でした。
命の始まり
「みなさん、命の始まりの大きさってどのくらいか分かりますか?」
「誕生学プログラム」の授業が始まり、今回の講師を担当した平岩さんの最初の問いかけに、ざわざわし始める中学生たち。続けて、平岩さんは授業前に私たち全員に配られていたハートのいろがみを指し、天井にかざしてみてくださいと言いました。私もハートのいろがみをかざしてみると、小さな穴を見つけました。
「この小さな針の穴くらいの大きさがいのちの始まりです」
なんと約0.1ミリの大きさから、私たちの命が始まっていたのです。その小さな命は、生まれた後に母乳を吸うために、お腹の中で指をしゃぶって吸う練習をしていて、どんなに小さくても、1つの命として一生懸命に生きているという事が分かります。
平岩さんが、想像しやすい例えや、実際の命の大きさを見せてくれたおかげで、中学生たちは理解を深めているようでした。
誰も1人では生きていけない
また、800年前のローマ皇帝フリードリヒ2世が、生まれたばかりの赤ちゃんたちに対して、「衣食住の生きるための世話はきちんとするけれど、言葉かけは一切してはいけない」という研究をした話を、平岩さんは教えてくれました。赤ちゃんにミルクをあげたり、お風呂に入れたりはするけれど、話しかけたり笑いかけたりはしない、そんな研究です。
この研究の結果に、私はとても驚きました。なんと、その赤ちゃんたちは、1歳になる前に死んでしまったそうす。やはり、言葉かけというのは、赤ちゃんや子どもが生きていく上でとても大事なんだなと改めて感じられました。そして、大人だって、1人では生きていけないのではないかと思うと、色々な感情が込み上げてきました。
今年1月に成人式を終えたばかりの私は、「やっと大人の仲間入りだ」とか「なんでも1人でできる」とか、勝手に大人の気分になっていました。しかし、それは間違っていて、人は誰かに支えてもらわないと生きていけないという事に気付きました。
私の周りにも大学生になってから1人暮らしをし始めた友達はたくさんいますが、全てを1人で担っている人はいません。親や知り合いの方の力を借りながら生活しています。人は成長はできても、誰か話せる人や、頼れる人がいなければ生きていけないと感じました。
LGBTQという個性、性という人間らしさ
この授業では、LGBTQ(性的マイノリティ)や、性についても触れていました。LGBTQは、最近特に耳にするようになりましたが、私のような大学生や、中学生たちにとっても、身近な話題となっています。
「LGBTQの人は、AB型の人や左利きの人と同じくらいの割合です」
話を聞いて、電車の中で流れているCMの「人は生きているだけで個性だ」という言葉を目にしたことを思い出しました。本当にそうだなと思います。みんな、同じ人間ではあるけど、見た目も性格も考えも、全然違います。それは当たり前の事です。だから、差別のない世の中になってくれたら、素敵だなと思いました。
「性」の話も印象的でした。「性」という言葉を聞くと、顔を下に向けてしまったり、ざわざわしてしまう中学生たち。それに対して、平岩さんはこのように諭しました。
「性は恥ずかしいものではなく、人間らしいものです」
続けてこう言って、「誕生学プログラム」の授業を締めくくったのです。
「これからまだまだ楽しい事が待っているみなさんですから、自分の命を大切にして、生きてください」
いのちを大切に
最近、私は母親と喧嘩をしてしまうことが多々あります。喧嘩している時には、ムカつく気持ちになっていて、感謝の気持ちというものがありませんでした。
しかし、「いのちの誕生授業」を受けて、自分の考えが間違っていた事に気付きました。喧嘩をしてしまうのは、お腹を痛めて私を産んでくれた母親が、いつまでも我が子の事を想ってくれているからこそ、意見がぶつかってしまうんだと改めて感じました。
私もこの先、命を授かるかもしれません。そんな時に、今回の授業を思い出せたら良いなと思います。
このような貴重な話を、中学生という育ち盛りの時期に聞けるのは、子どもたちにとって、とてもありがたいことなんだろうなと思いました。私が中学生の頃にこの話を聞けていたら、きっと、母親にもっと優しくできてきたんじゃないかなと思いました。
取材日となった3月11日は、11年前に起こった東日本大震災の日でもあります。そんな日に、命の大切さや尊さを、より一層感じる事ができました。
「育てよう!いのちの根っこ」のみなさん、本当にありがとうございました。
「育てよう!いのちの根っこ」
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※2022年度も「いのちの誕生授業」を足立区の中学校及び小学校に広く届ける予定ですので、関心のある学校関係者の方は、ホームページかFacebookよりお問い合わせください。
取材=村田麗歌(トネリライナーノーツ サポーターズ)
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編集・撮影=大島俊映(トネリライナーノーツ 編集長)
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