足立区東伊興にあるおにぎり屋「にぎりむすび」に関わる女性たち「にぎり娘」が、地域で活動している方の拠点にお邪魔して、その方との対談で物語を紐解く連載が「にぎり娘が行く!」です。
第6回のゲストは、足立区を拠点に子どもや子育て家庭を支援する「一般社団法人 チョイふる」代表の栗野泰成さん。対談ホストは「にぎりむすび」女将の山本亜紀子さんが、司会はトネリライナーノーツ編集長アシスタントの村田麗歌が務めます。
(対談日:2022年2月19日)
栗野泰成さん(以下、栗野さん)は、足立区伊興本町にある子どもの居場所「おもちゃ図書館 あだちキッズカフェ」や、子育て家庭支援の宅配「あだち・わくわく便」を行なっている「一般社団法人チョイふる」の代表です。また、足立区の子どもたちへの食事支援プロジェクト「にぎりむすびギフト」でも、子どもたちに食事を届ける「にぎりむすびギフトランナー」として、「にぎりむすび」の栄養満点の食事を定期的に届けてくれています。
今回は、「あだち・わくわく便」の活動場所である足立区伊興本町の「神の家族主イエス・キリスト教会」にお邪魔して、にぎり娘の山本亜紀子さん(以下、山本さん)が、栗野さんにお話を伺いました。
食事支援を始めたキッカケ
――お2人が子どもの食事支援を始めたキッカケはなんですか?
栗野さん 最初は、子どもの居場所作りをやりたかったんですけど、そこに来てもらえない現実がありました。「あそこに行っている人は貧困だ」っていうようなレッテルを貼られたりとか、社会的な偏見みたいなものがあったりとか。そういった現状があったので、こちらから食品の宅配をキッカケに、食事支援を必要とする家庭と繋がる活動をしよう、そう思って「あだち・わくわく便」を始めました。
山本さん 私の方は、子どもの居場所である「コミュニティKoen てらまちハウス」の中に、おにぎり屋を作ったので、お店の事業の1つとして「にぎりむすびギフト」をスタートしました。それと、「てらまちハウス」を始める中で、西新井の「ギャラクシティ」を拠点に活動する「あだち子ども食堂 たべるば」との出会いがあって、そこの影響が1番大きかったですね。
栗野さん えー、そうなんですね。
山本さん 「たべるば」の代表の川野さんと出会って、彼女から密に色々と活動の話を聞くことで、「子どもって、育った環境というか生まれた環境によって、本当に大きな差ができてしまうんだな」っていう事をすごく感じたのがキッカケになりました。
ただ食品を配るだけじゃなくて、子どもの見守りっていうところを1番やりたい(栗野さん)
――今日初めて「あだち・わくわく便」の現場を見させていただいて、ボランティアのみなさんが和気藹々と作業をしていたのが印象的だったんですが、なにか秘訣はありますか?
栗野さん 秘訣というか、ボランティアのみなさんがお知り合いの方をどんどん巻き込んでくださるので、ボランティアさん同士の繋がりが増えていってますね。そうなると、新しい方も以前からの方も、参加しやすいというのは1つあるかもしれないです。
山本さん 参加しやすいって、良いですね。
栗野さん (居場所による)子どもの見守りは、福祉的なアプローチが必要というか、そういうのは専門的すぎるので、中々初めての方は参加しづらいと思うんですよ。対して、「わくわく便」の場合は、食品を持って訪問して、お渡しする中で会話をする、っていう感じなので、(居場所による)見守りに比べると敷居は低いです。
山本さん 食材を運んでくれるボランティアさんと想いを共有するための秘訣ってありますか?
栗野さん ボランティアさんには何度も同じ事を繰り返し伝えています。「ただ食品を配るだけじゃなくて、子どもの見守りっていうところを1番やりたいから」とか、「課題を抱えているご家庭が、足立区にこれだけいるんだよ」とか、っていうのを何度も何度も、うるさいくらいに言います。なので、やはり伝える事が大切なのかなと思いますね。
山本さん なるほど。
栗野さん そうやって、「食品をただ届けるだけではなくて、その先の繋がりが必要なんだ」っていうところの共通の認識みたいなものをボランティアさんたちと持てているので、新しい人も誘いやすいのかなと感じています。
山本さん 私自身は「最近、伝えるっていうのをちゃんとやってなかったな」っていう事を、今のお話を聞きながら思っちゃいました。ボランティアさんに伝わらない時はどうされているんですか?
栗野さん そもそも、伝わらない事を前提として相手に言っています。でも、同じ事を何度も言わないと、いつまでも伝わらないままだろうし、何度も言われた上で食材を届けに行ってもらえたら、言われていたボランティアさんも「この家庭にはもう1回届けに行かなきゃ!」といずれは考えるのではないかなと思います。
山本さん 伝え続けて、その結果として、相手に気付いてもらう感じですね。すごい勉強になります。
栗野さん 支援をしようとしても、本当に困ってる人ほど自分で「助けて」って言えない現状があります。そうなると、こちらからそういう人たちに、届けに行かないといけません。そのために必要な事だから、自分がこれまでにやってきた経験や想いを、ボランティアさんには何度でも伝えます。
同じ地域の仲間として、本当に応援しています(山本さん)
――2人の拠点は近所ですし、今後はなにか一緒に活動ができたら良いですね。
栗野さん 今、力を入れている「おもちゃ図書館 あだちキッズカフェ」が完成したら、ぜひたくさんの子どもたちに来てほしいなと思っています。ここは、最初に思い描いていた子どもの居場所です。
山本さん そうですね。「おもちゃ図書館」が完成して、実際にきっと「てらまちハウス」に来てる親子も、「おもちゃ図書館」に行くようになるかもしれないし、逆もあるだろうし。同じ地域の仲間として、本当に応援しています。
――そろそろお時間になりました。山本さん、最後に恒例の質問をお願いします。
山本さん 好きなおにぎりの具はなんですか?
栗野さん 鮭と昆布が好きです。シンプルイズベストですね(笑)
一般社団法人チョイふる
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▼にぎりむすび関連
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にぎりむすび
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対談=山本亜紀子(トネリライナーノーツ サポーターズ)
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司会・編集=村田麗歌(トネリライナーノーツ 編集長アシスタント)
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