足立区東伊興にあるおにぎり屋「にぎりむすび」に関わる女性たち「にぎり娘」が、地域で活動している方の拠点にお邪魔して、その方との対談で物語を紐解く連載が「にぎり娘が行く!」です。
この連載では、「にぎり娘」が地域で活動している方の拠点にお邪魔して対談を行いますが、今回は「にぎりむすび」のオープン記念の特別編として、「にぎりむすび」女将の山本亜紀子さんと、営業プランナーの川野礼さんによる対談をお届けします。司会はトネリライナーノーツ編集長の大島俊映が務めます。
(対談日:2021年3月11日)
「にぎりむすび」は、東京都足立区東伊興の寺町の一角にある「コミュニティKoenてらまちハウス(注1)」の中にオープンした“地域応援型”のおにぎり屋です。収益は、子育てママの居場所作りの活動や子ども食堂の運営に使われます。
この事業の中で、山本さんは“女将”として現場の統括をはじめとした代表業務を、川野さんは“営業プランナー”としてお客様にお弁当を大口取引してもらう営業業務を担当しています。
「お弁当を買ってもらって、子ども食堂を応援してもらう」 (川野さん)
――まずは2人のお仕事内容を教えてください。
山本さん 「にぎりむすび」は、足立区東伊興のおにぎり屋ですが、安全・安心な手作りのおにぎりやその他の料理を届ける事で、地域の人たちとの繋がりを作れたらと考えています。女将という肩書きでは、現場に立つスタッフの「にぎり娘」たちが楽しく仕事ができるように、雰囲気を作ったり環境を整えたりして、おにぎり屋と地域の人たちとの間で“ハブ”のような役割を果たすのが1番大切だと意識していますね。
川野さん 私は営業プランナーとして、現場スタッフの「にぎり娘」たちが頑張って作った想いのこもったお弁当を、できるだけ多くの方に届けられるように色々な場所に営業に行くという仕事になります。
――川野さんがこの事業に参加するキッカケってなんだったんですか?
川野さん 元々、山本さんがやろうとしていた地域の親子の居場所作りとなる「ママとキッズのサードプレイス(注2)」プロジェクトには共感していましたし、なにかお手伝いできたらとは思っていました。そんな中、山本さんの活動に事業性を持たせるために、おにぎり屋をやる事が決まって。私の運営している子ども食堂も、継続していくための事業性に課題がありますが、「にぎりむすび」に私が関わる事で「お弁当を買ってもらって、子ども食堂を応援してもらう」のは、魅力的だなと思ったんです。
山本さん ちなみに、私から川野さんを誘ったんだっけ?(笑)
川野さん どっちだったっけ?(笑)
山本さん (司会の)大島さんから「おにぎり屋はどう?」と提案された(注3)時に、川野さんもその場にいて、自然な流れだったのかな。でも、「コミュニティKoenてらまちハウス」の物件を川野さんが紹介してくれたり、運営している子ども食堂の活動は素晴らしいといつも感じていたので、なんらかの形で一緒に関わりたいな、とはずっと思っていました。
川野さん そばにいたら巻き込まれていった感じだったかな(笑)ただ、楽しそうだったしな。それに、子ども食堂をやっていく中でいろんな人たちと出会って、いろんな応援を受けてきたから、それを山本さんや「コミュニティKoenてらまちハウス」の活動に還元したい思いもありました。私も応援したいな、って。
「にぎり娘」たちを誇りに思っています(山本さん)
――飲食店の中でも、おにぎり屋を選んだ理由はありますか。
山本さん 「おむすび」という言葉の通り「縁を結ぶ」という意味合いもありますし、「おにぎり」っていうのはどの年代でも日常的に食べる普段のご飯というイメージがあって、それが「地域の人たちと繋がる」という趣旨の「コミュニティKoenてらまちハウス」の活動にピッタリだなと思ったんです。
川野さん 大島さんが最初に「おにぎり」って言った時に、「いいね!」ってみんなが一致したのが良かったですよね。
山本さん おにぎりって、格好つけてない感じもいいよね。コミュニティKoenのこれまでの活動もそうだったから。
――おにぎり屋をやると決めてから、実際に進めてみて、どうでしたか?
山本さん うーん(苦笑)色々と大変ですね…。
川野さん これからも大変です。ギリギリです(苦笑)
山本さん 私も本当にギリギリで。「コミュニティKoenてらまちハウス」で元々やりたかった親子の居場所作りの活動や、きちんと関わろうと決めていた建物のリノベーションとの兼ね合いもあって、おにぎり屋をやると決めてから実際に取り掛かるまで遅くなってしまいました。正直なところ、実際におにぎり屋さんの内装が出来てくる時期まで、私の気持ちが「にぎりむすび」に行き切れてなかった部分もあったんですよね。
川野さん 山本さんを横で見ている身としては、拠点を持ちたいという願いが叶ったのに、こんなにバタバタで。霧の中で正しい道を見つけていく、みたいな作業に映りました。
山本さん でも、現場スタッフの「にぎり娘」たちが集まってからですけど、彼女たちは本当に頑張って練習してくれているんですよね。商品プランナーの長村さんもメニューを何度も改良してくれていますし。「にぎり娘」は長村さんから、それこそ修行のような指導を受けて、すでに私より上手な工程もあります。私自身はそんな周りのみんなから影響を受けていますし、今は「にぎりむすび」にも全力ですし、そして、「にぎり娘」たちを誇りに思っています。
好きなおにぎりの具は・・・
――泣いてしまった事もありましたよね(注4)。
山本さん 当時、繋がりの場を作るためにと望んでやっているのに、なんか全部が中途半端になってる感じがして。よくある飲食店がやりたい、という訳ではなかったし。気持ちがモニョモニョしているのが出てしまいました。でも、泣いてしまってから、自分の中で区切りというか、気持ちの整理が着いたんですよね。「自分で決めた事だよな。進むしかないんだよな」って。その翌日の夜に、長村さんと大島さんと話して、おにぎりや豚汁はどんな物にしたいのかを言語化する事ができたので、今後に関しては「にぎり娘」たちのために自分の時間を使っていこうと思っています。
川野さん 「にぎり娘」が決まってから、山本さんの顔が変わったな、というのは感じています。決まる前は苦しい感じが出ていましたが、実際に決まって「にぎり娘」たち1人1人の顔が見えた時に、一気に輝き出しましたね。「ママの活躍の場を作りたい」と山本さんは以前から言っていて、それが実現するからかな。
山本さん 凄いね!(笑)そんなの見てくれていたんだ。確かに、私は上の立場の人になりたい訳ではなくて、縁の下の力持ちでいたいんです。だから、「にぎりむすび」でも、女将の私ではなく、「にぎり娘」たちに活躍してほしいと思っています。
――「にぎり娘」たちのエピソードはなにかありますか?
山本さん たくさんありますよ。出汁巻き玉子を焼くのが難しいのですが、自分で卵を買って自主練をしに来てくれたり。弁当の盛り付けを家で試してくれて、それを写真に撮って送ってくれたり。2歳の子をおぶりながら、一生懸命練習してくれるママもいたり。
川野さん なんか楽しそうだね!もっと早く仲間を作った方が良かったのかも(笑)
山本さん 本当にそうかも(笑)
――それでは、恒例となった最後の質問です。好きなおにぎりの具はなんですか?
山本さん すじこ!
川野さん たらこ!
注1)「コミュニティKoenてらまちハウス」についてはこちら
注3) “大島さんから「おにぎり屋はどう?」と提案された”についてはこちら
にぎりむすび
住所
東京都足立区東伊興4-14-4
ホームページ
https://nigirimusubi.com/
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対談=山本亜紀子(トネリライナーノーツ サポーターズ)
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対談=川野礼(トネリライナーノーツ サポーターズ)
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